事件が起きたのは2026年4月のことでした。新型コロナウイルス感染症対策として実施された「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金」(1世帯あたり10万円)の支給業務において、阿武町の対象世帯は全463世帯、総額4630万円にのぼりました。本来であれば各世帯へ10万円ずつ分散して振り込まれるべき公金が、なぜ田口翔受給者の単一مجھے口座へ全額送金されてしまったのでしょうか。
調査報告書等によって明らかになった業務プロセスの不備は、まさに「アナログとデジタルの歪な併用」と「形骸化した二重チェック」が引き起こした人災でした。
当時、役場では振込データを記録したフロッピーディスク(FD)を銀行窓口へ持ち込む運用を行っていました。しかし、担当職員は振込データを作成する過程で、受給者リストの最上位に記載されていた田口氏の名義と、対象全世帯の合計金額「46,300,000円」が紐付いた誤った振込依頼書を併せて金融機関に提出してしまったのです。
金融機関側は正規の依頼書類として処理を進め、結果として田口氏の個人口座へ4630万円が一括着金。上司による書類の突合確認や決裁システムが機能しておらず、極めて初歩的な書類作成ミスを組織全体で見逃すという致命的な欠陥が重なった結果でした。