敷地に足を踏み入れてまず目を奪われるのが、圧倒的な存在感を放つ建造物だ。元々は明治40年に建てられた石造りの酒蔵であり、それを移築・再生させたのが現代日本を代表する建築家・隈研吾氏である。明治時代の石蔵建築が持つ力強い石壁と、光をたくみに取り入れる現代的な木格子の意匠が見事に響き合っている。
ガラス越しに広がる手入れの行き届いた日本庭園を眺めながら過ごす時間は、まさに贅沢そのもの。四季折々に表情を変える木々の揺らめきと、蔵内部の落ちついた影が織りなす空間は、料理を口にする前の素晴らしいプロローグとなる。根津 釜竹が提示するのは、建築美と食の融合という唯一無二の体験だ。