世界的な大成功を収めた一方で、主演のマイリー・サイラス自身は「完璧なアイドル・ハンナ」という虚像との激しいギャップに苦しめられることになります。少女時代から過密スケジュールに追われ、世界中から「理想の少女」であることを求められ続けたプレッシャーは、彼女の精神を大きく削っていきました。
番組終了後の2013年、マイリーはアルバム『Bangerz』のリリースとともに、ブロンドのショートヘアと露出度の高い衣装、挑発的なパフォーマンスで世界中に大きな衝撃を与えます。大ヒット曲『Wrecking Ball』のミュージックビデオで見せた過激な姿や、MTVビデオ・ミュージック・アワードでのパフォーマンスは激しい賛否両論を巻き起こし、「かつてのディズニーアイドルが壊れてしまった」とバッシングを浴びることもありました。
しかし、この過激なイメージチェンジの真相は、作られた虚像を破壊し、ひとりの表現者・人間としての主権を取り戻すための命がけの自己解放でした。彼女は後にインタビューで「ハンナ・モンタナというキャラクターを愛していたけれど、自分のアイデンティティを見失いかけていた」と率直に告白しています。自らの手で過去のイメージを打ち砕くことで、彼女は本物のアーティストへと脱皮するための道を切り拓いたのです。