「注文したらソーセージが添えられて出てくると思った」という笑い話は、ネット上の掲示板や知恵袋でも定番のトピックです。しかし、ウインナーコーヒーとウインナーソーセージには、直接的な食材としての接点は一切ありません。両者を結びつけている唯一の要素は、オーストリアの首都「ウィーン(Wien)」という発祥の地名です。
ドイツ語において、地名「Wien」に接尾辞「-er」を付けると、「ウィーンの」「ウィーン風の」あるいは「ウィーン市民」を指す形容詞・名詞になります。英語圏でいう「Viennese(ビエニーズ)」に該当する言葉が、ドイツ語の「Wiener(ヴィーナー)」です。これが日本に伝来した際、英語読みやドイツ語読みが混ざり合い、「ウインナー」というカタカナ表記で定着しました。
ソーセージのウインナーも正式名称は「ウインナー・ソーセージ(ウィーン風ソーセージ)」であり、フランクフルトからウィーンに移住した肉職人が考案した羊腸詰めのソーセージを指します。つまり、両者はいわば「同じ都市の名前を冠した遠い親戚」に過ぎません。ウインナーコーヒーの名前の真相は、ソーセージの具材ではなく、「オーストリア・ウィーン風の仕立てを施した珈琲」という意味なのです。