2006年秋、日本テレビ放送網の水曜ドラマ枠で産声をあげた『14才の母 愛するために生まれてきた』。企画が持ち上がった当初、局内でも激しい議論が巻き起こった。「未成年の性や妊娠を美化するのではないか」「教育上悪影響を及ぼすのではないか」――現場には凄まじい逆風が吹き荒れていた。
その逆風を真正面から受け止め、骨太な人間賛歌へと昇華させた立役者こそが脚本家の井上由美子である。彼女が描いたのは、無責任な過ちの断罪でも、無垢なヒロイズムでもない。突然の現実に打ちのめされながらも、「生きようとする命」から目を背けまいともがく等身大の少女の息遣いだった。過剰なセンチメンタリズムを徹底的に削ぎ落とした台詞の数々は、日本のテレビドラマの歴史において特筆すべきリアリズムを獲得することになる。