芝生の育成において最も致命的な過ちは、草種ごとの生長適温を無視した施肥です。芝生は大きく「日本芝(高麗芝・野芝などの暖地型芝)」と「西洋芝(ケンタッキーブルーグラス・ベントグラスなどの寒地型芝)」に二分され、両者の生体リズムは根本的に異なります。
日本の庭園で約8割以上のシェアを占める高麗芝は、春から秋にかけて気温が上昇する時期に活発に生育します。平均気温が23℃から30℃前後の初夏から真夏にかけて旺盛に成長し、冬期は地上部を枯らして休眠期に入ります。一方、冷涼な気候を好む寒地型の西洋芝は、生育適温が15℃から20℃前後であり、春先と秋口にピークを迎える半面、日本の猛暑期には著しく体力を消耗して半休眠状態に陥ります。
植物生理学の見地からも、根が養分を吸い上げられない休眠期や夏バテ状態の芝生に肥料を与えると、土壌中の塩類濃度だけが異常に高まり、根を直接傷める結果となります。高麗芝の肥料時期と西洋芝の施肥タイミングを同一視することは、芝生自活の生態系を根本から破壊する行為にほかなりません。