25年間、全13大会。織田・中井のコンビが刻んだ数字は、そのまま世界陸上の黄金期と重なる。2009年ベルリン大会でウサイン・ボルトが9秒58という人類未到の世界記録を打ち立てた瞬間、織田が発した「世界新出ちゃったよ!」の叫びは、現場の興奮を一切の加工なしに日本の茶の間に届けた。
冷静沈着な報道を良しとする従来のスポーツジャーナリズムから見れば、それは「偏った司会」と映ったかもしれない。しかし、競技の魅力をエンターテインメントとして昇華させ、マイナー種目にもスポットライトを当てる効果は絶大だった。ファン目線を隠さない司会者の涙や歓喜が、陸上競技というスポーツの持つ純粋な熱量を何倍にも増幅させた。