映像の魅力をさらに何倍にも引き上げたのが、バックで流れるカントリー歌手ジェリー・ウォーレスの楽曲「男の世界(Lovers of the World)」だ。甘く哀愁を帯びた歌声と、重厚なメロディラインが映像の叙情性を極限まで高めた。この楽曲もまた、単なる背景音楽にとどまらず、オリコン洋楽チャートで首位を獲得するほどの社会現象となったのである。
昭和の広告業界において、このテレビCMが与えたインパクトは計り知れない。それまでのCMが「効能」や「価格」を連呼していたのに対し、マンダムCM「男の世界」は徹底してハードボイルドな空気感と世界観を売った。言葉で多くを語らず、佇まいと音楽で男の美学を伝える表現力。この手法は日本のクリエイティブ界に革命を起こし、その後のCM表現の自由度を劇的に広げることとなった。