妊娠・出産を控えた女性の間で最も不安視されるテーマの一つが、「出産の際に股(会陰)が裂けるのではないか」という恐怖です。医学的にはこれを出産に伴う会陰裂傷と呼びます。
分娩時、赤ちゃんの頭が産道を通って骨盤底を押し広げる際、会陰部の皮膚や筋肉の伸びが追いつかないと自然に裂傷が生じます。裂傷の深さは第1度(皮膚のみ)から第4度(肛門括約筋や直腸粘膜に達するもの)まで分類され、第3度以上になると排便障害や長期的な痛みを引き起こすリスクが高まります。
この不規則で重度な裂傷を防ぐために行われるのが会陰切開です。助産師や医師が赤ちゃんの下降状態を見極め、会陰が過度に引き伸ばされる直前に医療用ハサミで切開を入れます。切開時は局所麻酔を用いるほか、陣痛のピークと組織の伸展によって局所が麻痺状態に近いため、切られた瞬間の痛みを強く自覚することは稀です。術後は吸収糸(溶ける糸)で丁寧に縫合されます。
【会陰切開の痛み・裂傷を最小限にする予防法】
痛みの軽減と産後の速やかな回復を目指すうえで、妊娠34週頃から始める会陰マッサージのやり方を把握しておくことが推奨されます。
- 準備:手を清潔にし、植物性オイル(カレンデュラオイル、スウィートアーモンドオイル、ホホバオイル等)を用意します。入浴後の血流が良いタイミングが適しています。
- 手順:親指または人差し指にオイルを取り、膣口から2〜3cmほど指を挿入します。時計盤の3時から9時の方向(会陰方向)に向けて、U字を描くように優しく圧をかけながら筋肉をストレッチします。
- 注意点:お腹の張りがある時や切迫早産の兆候がある場合、カンジダ等の感染症を発症している時は直ちに中止し、必ず主治医に相談してください。