館内を進むと、目を見張るのが水素燃料電池車(FCEV)「MIRAI」のカットモデルと、最新のパワートレーン技術だ。トヨタが目指すマルチパスクラフト(多角的な電動化戦略)の思想が、精巧なメカニズムを通して視覚的に理解できる。単に電気自動車(EV)一辺倒になるのではなく、水素社会の実現に向けたインフラ整備やエコシステムの構築までを見据えた展示は、深い説得力を持つ。
さらに訪れる者を驚かせるのが、高度なロボット技術のデモンストレーションだ。かつて工場での溶接や塗装を担っていた産業用ロボットは、今や人のパートナーとして生活支援や医療、介護の領域へ進出しつつある。人間と機械が調和して共生する社会。それこそが、トヨタが描く次世代モビリティ産業の真の姿だ。単に「走る・曲がる・止まる」という車の枠を超え、移動そのものの価値を再定義しようとする熱い意図が伝わってくる。