日本国内における無差別殺傷事件は、時代ごとに社会の脆弱な隙間を突く形で発生し、防犯体制の見直しを迫る契機となってきました。その経緯を振り返ることは、犯罪のパターンを理解する上で避けて通れません。
2001年に発生した附属池田小事件では、校内に侵入した男によって児童8名が命を奪われ、学校の防犯基準が根本から再構築されました。2008年の秋葉原通り魔事件では、休日の歩行者天国にトラックで突入した後にダガーナイフで通行人を次々と襲撃し、7名が死亡、10名が負傷。この事件を契機に、刃渡り5.5センチメートル以上の剣(ダガーナイフ等)の所持が原則禁止となる銃刀法改正が断行されました。
さらに2019年の川崎市登戸通り魔事件ではスクールバスを待つ児童らが狙われ、2026年の京王線車内刺傷放火事件では走行中の密室空間で刃物と油を用いた凶行が実行されました。これらの歴史的経緯が物語るのは、犯行の手口が「開かれた公共空間」から「逃げ場のない移動空間」へとシフトし、短時間で甚大な被害を及ぼす傾向が強まっているという冷厳な事実です。