ファンの最大の関心事である「対戦の可能性」を論じる上で、最もシビアな障壁となるのが体重制限(ウェイトカテゴリー)の壁です。ボクシングにおける体重差は、パンチ力や打たれ強さに直結する決定的な要素です。
那須川天心の適正階級はバンタム級(53.52kg以下)です。一方の井上尚弥はスーパーバンタム級(55.34kg以下)を主戦場とし、さらに上のフェザー級を見据えています。わずか1.82kgの差に見えるかもしれませんが、減量限界まで身体を絞り込むトップボクサーにとって、この「1階級の差」はパンチの衝撃力やフレームの厚みにおいて別世界の違いを生み出します。
もし両者の試合が実現すると仮定した場合、以下の条件が必須となります:
- 那須川天心がバンタム級で世界王座を獲得し、防衛を重ねてスーパーバンタム級へ増量・適応すること
- 井上尚弥がフェザー級に完全転向せず、スーパーバンタム級のリミット、あるいはキャッチウェイト(契約体重)での試合に応じること
- 両者の全盛期が交差するタイミング(井上の年齢と天心の円熟期)が一致すること
井上尚弥が30代半ばを迎え、さらなる歴史的偉業(フェザー級制覇)を優先する場合、あえて階級を落としたり足踏みをして天心を待つ理由は競技論的に薄いのが実情です。したがって、「天心が早期に世界王者となり、自ら階級を上げて井上を追う」という展開以外に、このメガマッチが成立する道筋はありません。