人間とこの危険な植物の関わりは古く、かつ深い。いわゆるアヘンポピーが醸し出す幻惑的な魅力は、古今東西の文学や芸術の領域で繰り返し語られてきた。19世紀のイギリスの作家トーマス・デ・クインシーが著した『あるイギリス人アヘン服用者の告白』は、麻薬がもたらす極限の恍惚と惨烈な精神的破滅をリアルに描き出し、当時の社会に巨大な波紋を呼んだ。
彼が記した禁断の記録は、現代における犯罪ジャーナリズムの源流の一つとも目されている。美しい花が秘める破滅の劇薬——その二面性は、時代を超えて人間を魅了すると同時に、倫理の境界線を揺るがし続けてきた。文化的なロマン主義の影には、常に依存症という残酷な人間の崩壊が貼りついているのだ。