彼の作品に登場する主人公たちは、おしなべて不器用で、プライドばかりが高く、自爆するように自らの人生をこんがら迷走させていく。周囲への嫉妬、自己弁護、妄想の肥大化。読む者はその痛々しい自意識の暴走に苦笑しながらも、ふと胸を突かれる。そこにあるのは、自分自身がひた隠しにしている情けない素顔そのものだからだ。
だが、町田の文学は決して突き放して終わらない。どれほど惨めで愚かな自己崩壊の果てであっても、強烈な言葉の渦によって笑いへと昇華されていく。毒を毒で制するように、人間の業を笑い飛ばすことでしか得られない、爽快で痛快な救済がそこには存在する。