この集落の名前は「果無集落(はてなししゅうらく)」と読みます。その名の由来は、集落の背後にそびえ立つ果無山脈にあります。「果てが無いほど幾重にも山々が連なっている」という圧倒的な地形の険しさを表したもので、古くから修験者や旅人がその峰々の深さに畏敬の念を抱いてきました。
十津川村 天空の郷という呼び名が定着したのは、集落が標高約400メートル前後の急斜面に開かれ、眼下に十津川の谷筋と幾重にも重なる山並みを見渡せる絶景を誇るためです。朝夕には谷底から立ち込める霧が雲海となり、まるで集落全体が天空に浮かんでいるかのような幻想的な姿を見せます。
果無集落の歴史的背景を紐解くと、平安時代から続く熊野信仰と深く結びついています。高野山と熊野本宮大社を最短距離で結ぶ巡礼路の要衝として、過酷な山越えに挑む旅人たちを支え、自給自足の営みを何世代にもわたって守り継いできました。