1970年代に入ると、彼の半生そのものがスクリーンへと進出する。東映が制作した映画『山口組三代目』は空前の大ヒットを記録し、映画界に「実録ヤクザ映画」という巨大なムーブメントを巻き起こした。主役の田岡役を演じたのは、日本映画界のトップスター高倉健である。
制作にあたっては本人の自伝が原作となり、任侠映画の枠を超えたリアルな人物描写が大きな話題を呼んだ。東映のスタッフやキャスト陣との交流、そして過激なロケーション撮影の背景には、当局からの強い警戒と世論の議論が渦巻いていた。自らの半生をスクリーンで神話化していくプロセスは、当時のメディアと裏社会の複雑な関係性を如実に物語っている。