前川清との離婚後、藤圭子は一時的な休業や引退宣言を経て、渡米を果たす。そこで彼女の人生を大きく変える人物と出会うこととなる。それが音楽プロデューサーの宇多田照實氏であった。ふたりは1982年に結婚。だが、この婚姻関係は日本の芸能史においても極めて異例な「離婚と再婚を何度も繰り返す」という波乱に満ちた軌跡を辿ることになる。
ふたりの間には実に数回(一説には7回以上)に及ぶ離婚と再婚の記録が存在する。なぜこれほどまでに復縁と離別を重ねたのか。周囲の証言や音楽業界関係者の話を紐解くと、そこには互いの強烈な個性のぶつかり合いと、切っても切り切れない深い精神的依存が存在していたことが浮かび上がる。照實氏は単なる配偶者にとどまらず、彼女の音楽活動を支えるプロデューサーであり、同時に彼女が抱える心の葛藤を最も近くで受け止める理解者でもあった。