蚊(主に日本国内で被害をもたらすヒトスジシマカやアカイエカ)が吸血相手を探す際、闇雲に飛んでいるわけではありません。蚊の触角や口吻には極めて鋭敏な感覚器官が備わっており、「二酸化炭素」「熱(体温)」「揮発性の皮膚ガス(ニオイ)」の3段階シグナルを感知してターゲットへ一直線に向かいます。
まず蚊が数十メートル離れた遠方から感知するのが、呼吸によって排出される二酸化炭素です。炭酸ガス濃度のわずかな変化を捉えて大まかな接近経路を定め、数メートル以内に入ると赤外線センサーのように体温(皮膚表面温度)を感知します。そして最終的に「誰のどこを刺すか」を決める決め手が、皮膚から揮発する汗の成分や皮脂由来のニオイ分子です。
したがって、呼吸が深く換気量が多い人、基礎代謝が高く皮膚温が高い人、そして運動やストレスなどで汗をかきやすい人は、蚊にとって「見つけやすく美味しい獲物」として最優先でロックオンされてしまいます。日常的に「自分ばかり狙われる」と感じる方は、これらのシグナルを無意識のうちに強く発信している状態にあるのです。