なぜ日本人はこれほどまでに2種を混同してしまうのか。その背景には、昭和から平成にかけて放送・公開された名作アニメーションが与えた強い社会的イメージが存在する。1970年代に放映されたアニメ『あらいぐまラスカル』は、愛らしく温厚なキャラクター像を日本中に定着させた。しかし、劇中で描かれたラスカルのデザインには、実はタヌキに近い造形が一部混ざっており、実際の凶暴なアライグマの生態とは大きな乖離を生む結果となった。
また、高畑勲 監督が手掛けたスタジオジブリの名作映画『平成狸合戦ぽんぽこ』では、都市開発に抗う健気でユーモラスなタヌキたちの姿が描かれ、日本人の郷愁を誘った。高畑勲 氏が緻密な取材に基づいて描いたタヌキの生態美学と、海外から移入されたアライグマの猛威。近年の Netflix 等による名作アーカイブ配信や 自然・生物学ドキュメンタリー の普及によって、世界中の視聴者がこれらの作品と現実の生態系の差異を比較再評価する動きも出ている。フィクションの愛らしさと現実の野生動物の危険性を切り離して捉える冷静な視点が求められている。