高校入試や定期テストの応用枠として頻出するのが、熱分解における質量計算問題です。この問題は一見複雑に見えますが、「質量保存の法則」と「一定の比率で反応が進む化学の基本法則」さえ押さえれば確実に得点源となります。
炭酸水素ナトリウムの粉末を加熱していく実験では、加熱時間や加熱回数を増やすにつれて気体($\text{CO}_2$)と水蒸気($\text{H}_2\text{O}$)が試験管外へ逃げていくため、試験管内に残る固体の質量は徐々に減少します。しかし、ある時点を境にどれだけ加熱しても質量が変化しなくなります。これは試験管内の炭酸水素ナトリウムがすべて炭酸ナトリウムへ熱分解しきった(未反応の粉末がゼロになった)ことを示しています。
【質量計算の鉄則ステップ】
1. 減少した質量を計算する:(加熱前の炭酸水素ナトリウムの質量)-(完全に反応した後の残留固体の質量)=(逃げていった二酸化炭素と水の合計質量)
2. 比例関係(比の計算)を作る:炭酸水素ナトリウム $8.4\,\text{g}$ を完全に加熱したとき、炭酸ナトリウムが $5.3\,\text{g}$ 残り、気体と水が合計 $3.1\,\text{g}$ 発生したとすると、反応する比率は常に「炭酸水素ナトリウム:残った固体 = $8.4 : 5.3$」となる。
3. 未反応の混合物問題を解く:中途半端な加熱で質量減少が途中で止まっているデータが出題された場合、「減少した質量の比率」から逆算して、何グラムの炭酸水素ナトリウムが分解済みであるかを比例式で導き出します。
質量計算問題で伸び悩む生徒の多くは、数字の加減算だけで解こうとして迷路に陥ります。化学反応式の背後にある「物質量の比率」を意識し、グラフの横軸(加熱前の質量)と縦軸(加熱後の質量や発生気体の質量)が描く直線関係を正しく読み取ることが満点突破の鍵です。