台湾旅行へ向かう際、多くのガイドブックに載っている「謝謝(シエシエ)」は、いわゆる標準中国語をベースとした台湾華語(国語)の表現です。台湾では全世代に台湾華語が通じるため、「謝謝」と言って通じないことはまずありません。しかし、現地の人同士の親しい会話やローカルな市場に足を踏み入れると、耳に入ってくる音は大きく異なります。
台湾で長年受け継がれてきた「台湾語(ホーロー語・台語)」において、「ありがとう」に該当する代表的な言葉は「多謝(ドーシャー)」です。台湾華語と台湾語は文法や語彙、発音体系が大きく異なる言語的背景を持っています。特に台北を離れた中部・南部エリアや、台北市内の下町・夜市の屋台などでは、台湾語が飛び交う日常が根付いています。
日本人観光客が「多謝(ドーシャー)!」と声をかけると、現地の店主やお年寄りは「おっ、台湾語を知っているのか」と目を細め、一気に距離を縮めてくれます。形式的なやり取りを超えて、ローカルの温かさに触れる最高のきっかけになるのがこのフレーズです。