こうしたニュアンスのリアルな空気感は、ポップカルチャーの世界にも色濃く反映されている。例えばNetflixで配信されている人気海外ドラマのセリフを観察してみよう。主人公が嫌な誘いをかわす場面や、気まずい質問をごまかすシーンで「Maybe...」と語尾を濁す演出が頻出する。映像と声のトーンが組み合わさることで、「言葉通りの意味ではない」ことが視聴者に一目で伝わる仕組みだ。
一方で、恋愛の駆け引きとして絶妙に機能した有名な例もある。カーリー・レイ・ジェプセンの大ヒット曲「Call Me Maybe」だ。ここでは「もしよかったら電話してね」という一線を画した控えめさと、少女特有の躊躇、そして淡い期待が「maybe」の一言に凝縮されている。確信が持てない不安と期待の狭間で揺れる感情を表現する上で、これほどドラマチックな言葉もないだろう。