1950年10月2日、全米の新聞わずか7紙でひっそりと連載が始まった。配信を手がけたのは大手配信会社のユナイテッド・フィーチャー・シンジケートである。当時の主流だったヒーローのアクションや壮大な冒険を描くグラフィックとは一線を画し、子供たちのなにげない会話劇に終始するスタイルは完全な異端だった。
シュルツが生み出したドジで不器用な主人公チャーリー・ブラウンは、まさに作者自身の分身でもある。従来のアメリカン・コミックが描いてきた「強くて格好いい主人公」という都合のいい虚像を打ち破り、自信のなさや葛藤をそのまま抱えた等身大の子供たちを活写した。新聞コミック・ストリップという限られたコマの枠組みの中で描かれたコメディ・日常のドラマは、瞬く間に全米の読者の心を打ち抜き、社会現象へと発展していく。