日本映画やテレビドラマにおける彼の真骨頂は、悲劇と喜劇の境界線を曖昧にしてしまう点にある。リストラされた中年男性、気弱な公務員、どこか抜けた悪党、商店街の頑固だが憎めない店主——。彼が演じるキャラクターたちは、どれも生活の匂いと一抹の寂しさをまとっている。
大げさな身振り手振りで笑いを取るわけではない。ただそこに立ち、困ったように眉をひそめるだけで、観客は胸の奥がキュッとなるような愛おしさを覚える。「笑えるけれど、どこか切ない」。この高度な感情の交差点を作り出せる俳優は、現代の日本のエンタメ界でも極めて稀有だ。