香りと味わいの設計図を読み解くと、科学的な違いが浮き彫りになります。二つの果実が放つアロマは、含まれる香気成分のバランスによって決定づけられているのです。
すだちの最大の魅力は、鼻を突き抜けるような鋭く爽快なトップノートです。α-ピネンやリモネンといった揮発性成分が豊富に含まれており、キリッとした強い酸味が特徴となっています。食材の生臭さを一瞬で消し去り、上品な爽やかさを付加する力は群を抜いています。
一方でかぼすは、クエン酸に加えてリンゴ酸などの有機酸が絶妙に調和しています。酸味がまろやかで、ほのかな甘みと深みのあるコクを感じさせるのが持ち味です。果汁量もすだちの数倍に及び、出汁や醬油と混ぜ合わせても酸味が尖りすぎず、素材の旨味を包み込むような包容力を持っています。