鈴木亮平を語る上で避けて通れないのが、その驚異的な肉体コントロールだ。若き日の引き締まった体躯から、明治維新期の恰幅の良い「西郷先生」へと姿を変えるため、彼は段階的に増量を重ねた。最終的には100キロ近くに達したとされるそのビジュアルは、特殊メイクに頼らない本物の説得力を放っていた。
しかし、本当に凄いのは体重の数値ではない。太ることで変わる発声、歩き方、そして佇まいそのものを、芝居の一部として完全にコントロールしていた点にある。単に「太った」のではなく、「西郷隆盛という巨木のような男がそこに立っている」という実感を視聴者に与えたのだ。この時の経験が、のちの様々な作品における極端なキャラクター造形に活かされているのは明白だ。