なぜ、まともな大人がわざわざ幼児に戻ろうとするのか。その理由はシンプルだ。「決定」からの解放である。私たちは朝起きてから寝るまで、無数の選択を迫られている。今日のランチ、メールの返信の文面、キャリアの方向性。しかし、園内ではすべてのスケジュールが「先生」によって決められている。「次はお絵描きの時間ですよ」「はーい」。この受動的な心地よさが、疲弊した脳を急速に休ませるのだ。
「ここでは自分で決めなくていい。それがどれほど救いになるか」と、都内のIT企業でマネージャーを務める女性(34)は語る。彼女にとって、週に一度の登園は、自己決定という重荷を下ろせる唯一の時間だという。