夕餉の時間を告げる頃、個室の食事処には出汁の馥郁たる香りが満ち始める。供されるのは、地元の豊かなテロワールを余すところなく表現した本格的な会席料理だ。
料理長が自ら早朝の市場へ出向き、自らの目利きで仕入れる近海の鮮魚や、朝採れの滋味あふれる高原野菜。それらを卓越した包丁捌きと繊細な火入れによって、目にも鮮やかな一皿へと昇華させる。器一つひとつの選定にも妥協がなく、古伊万里や地元の名工による焼き物が料理の美しさを引き立てる。
季節ごとに献立が一新されるため、春の山菜、夏の清流魚、秋の茸、冬の寒魚と、訪れる時期によって全く異なる感動に出合える。滋味深い椀物から炊きたての土鍋ご飯に至るまで、日本の食文化の奥深さを堪能できる美食の数々は圧巻のひと言に尽きる。