あの日、少女は母親と公園へ向かう途中で先を歩き、そのまま視界から消えた。普段から慣れ親しんでいたはずの通学路や路地裏。だが、住宅街の角を曲がったわずか数分の間に、彼女の存在は煙のように掻き消えてしまった。
松戸市内の現場周辺は、入り組んだ路地と水路、そして緑地が点在する特有の地形を持つ。家族からの通報を受けて直ちに始まった捜索は、当初、近隣の公園や商業施設周辺を中心に行われた。しかし、少女の移動速度と行動半径は、大人の常識的な想定をはるかに超えていた。
手がかりとなったのは、公園付近に残されていたキックスケーターと、その後に発見された靴や靴下だった。なぜ靴を脱ぎ捨てていたのか。なぜ市街地から離れる方向へと向かったのか。典型的な迷子事案のパターンに当てはまらない不可解な足取りが、捜査陣とボランティアの前に重い壁として立ちはだかった。