高麗屋の直系を理解する上で、まず押さえておきたいのが十代目松本幸四郎を中心とする核家族と兄弟関係です。歌舞伎座の筋書や劇団関係者の公式記録を整理すると、その華麗な顔ぶれに改めて驚かされます。
父は、半世紀以上にわたりミュージカル『ラ・マンチャの男』の主演を務め上げ、文化勲章を受章した二代目松本白鸚(前名・九代目松本幸四郎)。母は藤間紀子(ふじま のりこ)夫人です。この両親のもとに生まれたのが、長女の女優・松本紀保、長男の十代目松本幸四郎、そして次女の松たか子という3人兄妹です。
松たか子は日本アカデミー賞最優秀主演女優賞やディズニー映画『アナと雪の女王』の日本版劇中歌など、国民的表現者として確固たる地位を築いています。兄である十代目幸四郎とは幼少期から互いの舞台を客席や舞台袖で見守り合ってきた間柄であり、過去の特別対談番組では「兄が自宅の廊下で毎日のように立ち回りの稽古をしていた姿が、自分にとっての芝居の原風景」と語るなど、芸能一家ならではの深い敬意と信頼で結ばれています。
十代目幸四郎の私生活に目を向けると、2003年に資産家の令嬢でプロデュース能力にも長けた藤間園子夫人と結婚。夫妻の間には一男一女が誕生しています。長女の藤間薫子(松田美瑠)は舞踊家・表現者としての道を歩み、長男の藤間齋(ふじま いつき)は2018年に八代目市川染五郎を襲名しました。染五郎はその端正な容姿と冷徹なまでの美意識、そして卓越した演技力でファッション誌の表紙を飾り、映画の吹き替えや大河ドラマでも頭角を現すなど、次世代カルチャーを担う主役として爆発的な人気を誇っています。