インターネット上では時折、「笑ってはいけないの笑い我慢は、予定調和の演技なのではないか」「あらかじめ笑うタイミングが決まっている台本があるのではないか」といった懐疑的な意見が散見されます。しかし、現場の制作ドキュメントや関係者の証言を突き合わせると、その言説が実態からかけ離れた誤解であることが浮き彫りになります。
番組チーフ演出やスタッフが過去に明かした制作裏話によると、レギュラー陣には当日のロケスケジュールや仕掛けの内容は一切知らされていません。それどころか、出演者側は「本当に1回も笑わずにクリアしてスタッフを困らせてやろう」と本気で対抗戦を挑んでいたといいます。特に松本は、自身の笑いの矜持にかけて極力リアクションを我慢しようと試みていました。
しかし、人間は「笑ってはいけない」と強く意識すればするほど、脳の皮質下領域が刺激され、些細な刺激に対して過剰に反応してしまう「皮肉過程理論(シロクマ効果)」の罠に陥ります。長時間の拘束と睡眠不足、いつどこから刺客が現れるかわからない極度の警戒状態が、彼らの自律神経を極限まで摩耗させていたのです。つまり、松本が見せたあの悶絶の表情は、演技で作れるような生易しいものではなく、極限の疲労とプロの意地が激突した末の純粋な生理的パニックであったと結論づけられます。