結婚と子育てを経て女優業を本格再開した松坂慶子は、かつての華麗な主役級スターから、唯一無二の味わいを持つ名バイプレイヤーへと鮮やかな進化を遂げた。その確固たる足跡を象徴するのが、NHKの看板ドラマで見せた名演の数々だ。
大河ドラマ『篤姫』で演じた幾島役では、主人公を厳しくも温かく導く忠義の教育係として、重厚なヒューマンドラマの屋台骨を支えた。さらに近年では、連続テレビ小説『らんまん』において主人公の祖母・タキ役を務め、土佐の造り酒屋を切り盛りする威厳と孫への深い情愛を見事に表現。視聴者の涙を誘い、絶大な支持を集めた。
年齢を重ねるごとに増していく演技の深みは、私生活での豊かな経験と、夫や家族とともに築いてきた穏やかな日常がもたらした賜物といえる。