X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを開けば、かつて溢れていたカラフルなキャラ弁の姿は影を潜め、濃い茶色の煮物や焼き物がズラリと並ぶ投稿が万単位の「いいね」を集めている。なぜ、一見冴えない弁当がここまで多くの人々を惹きつけるのか。その背景には、時短と節約を突き詰めた結果として生まれた、現代ならではの合理主義が存在する。
朝の忙しい時間帯に赤・緑・黄の「信号機カラー」を揃える労力は、想像以上に精神的な負担となる。ブロッコリーを茹で、プチトマトを洗い、薄焼き卵を焼く——そうした細やかな工程をバッサリ削ぎ落とすことで、調理時間は従来の3分の1以下に縮小。浮いた時間と費用はそのまま生活のゆとりへと直結する。SNS上で交わされる熱狂は、見栄えの良さという呪縛から解放された人々の、安堵と共感の叫びに他ならない。