店頭から姿を消した最大の要因について、大手乳業メーカーの動向を追うと明確な構造変化が見えてきます。長年日本の家庭用エバミルク市場を支えてきた雪印メグミルクですが、かつてスーパーの棚に並んでいた赤と白のパッケージでおなじみの家庭用小缶(約170g規格)は、一般の食品スーパー向け配荷が極めて限定的となり、実質的な市場撤退に近い状態に追い込まれました。これがネット上で雪印メグミルクエバミルク生産終了の真相として誤解され、「日本からエバミルクが全滅した」という噂にすり替わった背景です。
実態としては、製品そのものの製造が完全に打ち切られたわけではありません。プロの洋食店や製菓工房、ベーカリーが愛用する業務用サイズ(411g缶)は現在も生産・流通を継続しています。つまり、エバミルク売ってない理由の核心は「製造中止」ではなく、「一般家庭の需要急減に伴う小売プラノグラム(棚割り)からの脱落」です。
日本の流通現場において、一般的な食品スーパーが常温乳製品コーナーに割くスペースはごくわずかです。回転率の高い加糖練乳(コンデンスミルク)やスキムミルクが優先され、年に数回しか買われないエバミルクは在庫回転率の観点から棚落ちせざるを得ませんでした。無糖練乳コンデンスミルク違いを正しく把握していない消費者が誤って購入し、返品トラブルになるのを防ぐため、あえて仕入れを行わないチェーンが増えたという現場事情も取材から浮き彫りになっています。