寺院と神社の最も根本的な差異は、信仰している「宗教のルーツ」と「崇拝する対象」にあります。これらを整理すると、日常の疑問の多くは氷解します。
神道と仏教の違いは、発祥の地に端を発します。神社が拠って立つ「神道」は、古代日本のアニミズムから発展した日本固有の民族信仰です。山、川、岩、木、あるいは風や雷といった自然現象のすべてに神が宿ると考える「八百万(やおよろず)の神」や、国や地域に貢献した実在の人物(菅原道真公や徳川家康公など)を御祭神として祀ります。教祖や開祖はおらず、聖書のような明確な単一の教典も持ちません。
一方、お寺が拠って立つ「仏教」は、紀元前5世紀頃にインドで釈迦(ガウタマ・シッダールタ)が開いた外来の宗教です。6世紀半ばに百済から日本へと伝来しました。仏教の目的は、厳しい修行や正しい教えの実践を通じて自らの煩悩を断ち切り、悟りを開くことにあります。信仰の対象は釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来などの「如来」、観音菩薩や地蔵菩薩などの「菩薩」といった仏様です。
施設を預かる神職と僧侶の違いも顕著です。神社に仕える神職(宮司、禰宜など)は、神と人との仲立ちとなって神事を執り行い、境内を清める役割を担います。神職は出家しているわけではないため、一般の社会生活を送りながら奉職します。対照的にお寺の僧侶(住職、僧など)は、仏門に入り(出家)、仏の教えを学び、修行を重ねて人々を救済・教化し、先祖を供養する宗教者です。