寺脇の役者人生を語る上で、盟友・岸谷五朗の存在を外すことはできない。1994年、二人が立ち上げた演劇ユニット『地球ゴージャス』は、日本の舞台演劇シーンに金字塔を打ち立ててきた。
ストレートプレイからド派手なミュージカル、アクション、ダンス、コメディまでを融合させた独自のスタイル。劇団という固定メンバーを持たず、作品ごとに最適なキャストを客演として迎えるプロデュース公演形式は、当時の演劇界において極めて革新的なアプローチだった。「五朗が頭脳であり脚本演出なら、自分はその想いを全身全霊で具現化する一番の肉体でありたい」と語る寺脇のスタンスは結成以来一貫している。
客席を満員にする豪華なステージの裏には、過酷な稽古の日々がある。どれほどドラマで多忙を極めようとも、舞台の幕が上がれば誰よりも高く跳び、誰よりも汗を流す。観客の生のため息や笑い声をダイレクトに浴びることこそが、役者・寺脇康文の生命線なのだ。