釣崎清隆の名をアート界およびサブカルチャー史に深く刻み込んだのが、一連の伝説的な写真集です。単なる記録写真にとどまらず、構図、ライティング、色彩設計に徹底した美意識が注ぎ込まれた作品群は、刊行されるたびに賛否両論の嵐を巻き起こしてきました。
1999年に刊行されたファースト写真集『死者の書』(自由国民社)は、商業出版ルートで流通したこと自体が当時の出版界において極めて異例の事件でした。タイやロシア、南米などで撮影された数々の遺体が収められた同書は、それまでの報道写真が課していた「倫理的配慮という名のボカシ」を一切排し、現場の血糊や腐敗、ハエの群れに至るまでを鮮明なフルカラーで定着させました。批評家たちからは「凄惨であると同時に、奇妙な静謐さと宗教画のような崇高さすら漂わせている」と評され、瞬く間に完売しました。
続く2004年に大洋図書から上梓された『THE DEAD』は、ドキュメンタリー性をさらに研ぎ澄ませた一冊です。死者たちの遺体が語りかける無言のドラマを重厚なブックデザインで包み込み、国内外の写真愛好家や現代アートコレクターから熱狂的な支持を獲得しました。そして2012年、自身の集大成として完全限定で世に放たれた超大型写真集『REVELATIONS』(黙示録)は、職人技による特殊印刷と巨大な判型を採用し、被写体の質感と量感を圧倒的な迫力で再現。出版物という枠組を超越した「美術工芸品」としての評価を不動のものにしました。