数字やスケジュールだけでは見えてこない、司法書士試験のリアルな現場感を検証してみましょう。合格体験記や特別インタビュー、さらにはSNS(Xなど)や匿名掲示板(5ちゃんねる・Yahoo!知恵袋の資格板)に寄せられた受験生の生の声を分析すると、「勉強時間のカウント方法」そのものに潜む落とし穴が浮き彫りになります。
働きながら1年4ヶ月(約1950時間)で合格を果たした30代男性(メーカー勤務)は、合格後の手記で次のように告白しています。
「最初の2ヶ月間、きれいなまとめノートを作っていた時間は、今振り返れば完全に『勉強したつもり』の自己満足でした。転機になったのは、予備校の講師から『テキストを3回読む暇があるなら、1回読んで過去問で3回間違えろ』と喝を入れられたことです。そこから机に向かう時間を減らし、通勤中のスマホ一問一答と、毎晩の記述式雛形チェックだけに絞ったことで、模試の偏差値が一気に48から62まで跳ね上がりました」
これとは対照的に、SNSや知恵袋のコミュニティで痛切な共感を呼んでいるのが、4年・5年と受験を重ねる「ベテラン受験生」たちの悲鳴です。「累計5000時間は超えているはずなのに、本試験の会場で知らない判例が出るとパニックになり、知っているはずの基本問題まで裏を読んで自滅してしまう」「午前択一は毎年90点取れるのに、午後の記述式で枠ズレ(登記すべき事項を書く欄を間違える致命的ミス)を起こして今年も落ちた」といった生々しい証言が後を絶ちません。
公の合格祝賀会やインタビューの場で見せる短期合格者たちの表情には、「全部を理解しようとしなかった潔さ」という共通のニュアンスがあります。司法書士試験の満点は350点ですが、合格点は例年260点〜280点(約75〜80%)前後です。つまり、最初から「難問・奇問の2割は捨てる」と割り切った受験生が1800時間で笑顔を掴み、「100%理解しないと気が済まない」真面目な受験生ほど、5000時間の迷宮に迷い込むという過酷なパラドックスが現場で起きているのです。