このメガヒット曲が誕生した背景には、フィクションではなく完全な一次体験が存在します。バンドのフロントマンであるニコラス・ペトリッカ(Nicholas Petricca)が音楽メディアの独占インタビュー等で明かしたところによると、舞台はロサンゼルスの有名なナイトクラブ「The Echo」でした。
当時、人間関係や将来に思い悩んでいたニコラスは、バーカウンターで注文の順番を待ちながら深刻な顔で立ち尽くしていました。その時、緑色のドレスにスニーカーを履いた当時のガールフレンドが彼の元へ歩み寄り、腕を引っ張って「つべこべ言わずに私と踊って!」と言い放ったのです。この瞬間に感じた衝撃と解放感が、そのまま楽曲のフックとして昇華されました。
公式ミュージックビデオ(MV)もまた、徹底した80年代カルチャーへのオマージュで構成されています。映画『ブレックファスト・クラブ』や、リック・スプリングフィールドのPVを彷彿とさせるレトロなネオンライティングとコミカルなストーリー仕立てが特徴です。作中でヒロインの女性を演じたのは女優のローレン・リン・ホワイト(Lauren Lynn White)で、彼女のエネルギッシュでチャーミングなダンスパフォーマンスが楽曲の爽快感を倍増させ、世界的なバイラルヒットを後押ししました。
ウォーク・ザ・ムーンのメンバー経歴を辿ると、彼らは米オハイオ州シンシナティで結成され、バンド名は名ロックバンドThe Policeの代表曲『Walking on the Moon』に由来します。インディーでの地道なライブ活動を経て、自らの泥臭い青春体験を極上のポップアンセムへと変換したストーリーこそが、楽曲に嘘のないエネルギーを宿らせています。