水質汚染の程度を客観的に評価する際、不可欠となる基本指標がBOD(生物化学的酸素要求量)とCOD(化学的酸素要求量)です。両者は似て非なる概念であり、測定対象や意味合いが明確に分かれています。
BODは「水中の有機物を好気性微生物が分解する際に消費する酸素の量」を示し、主として河川の水質指標に用いられます。微生物が活発に呼吸するほど数値が跳ね上がるため、BODが高い水域は有機物(エサ)が過剰に存在している証拠です。一方のCODは「過マンガン酸カリウムなどの酸化剤で有機物を化学的に酸化分解する際に消費される酸素量」を指し、水の滞留時間が長い湖沼や海域の水質指標として採用されています。
これらの数値が高止まりすると引き起こされるのが富栄養化メカニズムの連鎖です。家庭や農地からチッ素やリンといった栄養塩類が過剰に水域へ注ぎ込むと、それらを糧にして植物プランクトンが爆発的に増殖します。これが沿岸域を赤褐色に染める赤潮です。増殖したプランクトンが寿命を迎えて海底に沈殿すると、今度は死骸を分解するために底層の酸素が激しく奪われ、「貧酸素水塊」が形成されます。この貧酸素水塊が強風などで海面に湧き上がると、硫黄化合物を含んだ乳青色の青潮となり、アサリや魚類などの底生生物を酸欠死に追い込みます。