水前寺清子の足跡を語る上で欠かせないのが、1968年にリリースされた不朽の名曲『三百六十五歩のマーチ』である。「しあわせは歩いてこない だから行進してゆくんだね」という力強いフレーズは、高度経済成長期の日本に勇気と活力を与え、ミリオンセラーを記録した。
彼女の魅力は、単なる演歌の枠にとどまらない圧倒的な大衆性にある。着流し姿で威勢よく歌い上げるボーイッシュなスタイルは、従来の女性歌手像を大きく覆した。老若男女を問わず愛されるキャラクターは、歌謡界のみならずドラマ界からも熱烈なラブコールを受ける原動力となった。
挫折や困難に直面しても、歩みを止めずに前を向く――その楽曲の精神性は、彼女自身の波乱に満ちた人生哲学そのものでもあった。