長年親しまれた中谷一郎の降板と没後、二代目として風車の弥七の大役を引き継いだのが内藤剛志である。テレビドラマ界の第一線で活躍を続ける内藤にとっても、昭和のレジェンドが作り上げた完成形に挑むことは並大抵のプレッシャーではなかったという。しかし、内藤は中谷への深い敬意を抱きつつも、自身ならではの力強さと現代的な包容力を備えた新たな弥七像を構築してみせた。
撮影現場となった東映京都撮影所では、伝統的な殺陣の型を踏襲しながらも、内藤の持つシャープなアクションと温かみのある演技が融合。中谷版が醸し出していた哀愁漂う「影の男」から、より頼もしさと人情味を前面に出した弥七へのアップデートが行われた。この二人の名優によるバトンタッチは、時代劇という伝統芸能が時代を超えて継承されていく奇跡の軌跡と言えるだろう。