市場がパニックに陥る裏側で、この歪みを瞬時に見抜き、天文学的な利益を叩き出した個人投資家が存在した。それが「B・N・F」のハンドルネームで知られる小手川隆氏だ。彼はジェイコム株の板に異常な数量の売りが出ているのを目撃するや、即座に買い注文を入れ、わずか16分ほどの取引で20億円以上の利益を手中におさめた。
市場のパニックや制度の歪みから巨額の富を掠め取るこのエピソードは、リーマンショックの裏側を描いた映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』で描かれたヘッジファンドの狂騒劇とも深く共鳴する。市場が正気を失った瞬間、冷徹に数字だけを見つめて行動できる人間だけが勝者となる――ジェイコム事件は、金融市場の非情さと歪みの大きさを象徴するエピソードとして今なお語り継がれている。