日常のビジネス会話では「手渡し」と呼ばれることが多いが、厳密な法律用語としては「手交(しゅこう)」と表記される。政府の法令検索ポータルであるe-Govで条文を検索しても、手交という表現は複数の法令や通達において「受領者への直接送達」を意味する概念として登場する。
法務省の解釈においても、重要書類の交付が確実に行われたかを証明するうえで、手交は最も不確実性の少ない手段の一つと位置づけられてきた。企業法務を専門とする弁護士は、「郵送事故や不達のリスクをゼロにし、相手方の手元に確実に渡ったことをその場で相互確認できる点が手交最大の強み」と指摘する。重要な契約書や秘密保持誓約書など、紛失が許されない文書の受け渡しにおいて、この確実性は今も重宝されている。