アクロバットの極限状態と絶妙なコントラストを描くのが、演出家デヴィッド・シャイナーの手掛けた「クラウン(道化師)」たちの存在だ。スラップスティックな笑いと軽妙な観客巻き込み型の演出は、会場を一瞬で笑顔の渦へと巻き込む。
シャイナーは、古典的なパフォーミングアーツの美徳を現代のステージに見事に蘇らせた。舞台上に引っ張り出された観客が予期せぬドラマを生み出し、客席全体が一体となって爆笑する。緊張と緩和。命がけの超絶技巧と、腹を抱えるような笑い。この二つの要素が交互に押し寄せることで、観客の感情は揺さぶられ続け、最後まで退屈する暇を与えない。