ショート動画や写真で「リアル白くま」「動くわたあめ」と称賛を浴びている犬たちは、決して未知の珍獣ではありません。主に原産国や歴史的背景が異なる特定の純血種です。中でもシロクマ似として世界的な認知と人気を二分しているのがグレートピレニーズとサモエド、そして日本の家庭環境に適したサイズ感を持つ日本スピッツです。
まず、圧倒的な質量と堂々たる佇まいで「大人のシロクマ」そのものに見えるのがグレートピレニーズです。フランスとスペインの国境に位置するピレネー山脈で、何百年にもわたり羊の群れを狼や熊から守ってきた護畜衛犬(家畜保護犬)を祖先に持ちます。成犬の体重は50kgを超え、立ち上がれば大人の人間の背丈に迫るほどのスケールを誇ります。豊かな純白のダブルコートと垂れ耳、そして落ち着き払った佇まいは、まさに北極圏の王者の威厳を漂わせています。
一方、「シロクマの子犬がそのまま大きくなったような姿」として熱狂的なファンを持つのがサモエドです。ロシアのシベリア極寒の地で遊牧民サモエド族とともに暮らし、トナカイの放牧やそり引き、時には家族と一緒に暖を取るために添い寝をしていた歴史を持ちます。ピンと立った立ち耳、アーモンド形の黒い瞳、そして口角がキュッと上がった特有の表情は「サモエドスマイル」と呼ばれ、見る人を無条件で幸福にする魔力を持っています。サイズは中型〜大型に位置づけられ、ピレニーズほどの超巨体ではないものの、豊かな立ち毛によって実寸以上の圧倒的なボリューム感を醸し出します。
「シロクマのようなモフモフした白犬を飼いたいけれど、大型犬を受け入れる住居スペースがない」という日本の都市部在住者から絶大な支持を集めているのが日本スピッツです。昭和20年代から30年代にかけて日本国内で爆発的なブームを巻き起こした歴史がありますが、かつての「無駄吠えが多い」というイメージは、その後の半世紀にわたる計画的なブリーディングによって劇的に改善されました。体重9〜11kg前後の扱いやすい体躯に、純白の被毛と漆黒の鼻・瞳を備え、まるで「手のひらサイズの小さなシロクマ」のような愛らしさを誇ります。