シカマルが直面した飛段という男の最大の脅威は、忍の世界の常識を根底から覆す「完全なる不死身」と「呪術」にありました。飛段は新興宗教「ジャシン教」の狂信者であり、教団の人体実験によって殺害不能な肉体を手に入れた特異体質者です。
その戦闘スタイルは極めて凶悪でした。三刃の大鎌で相手にかすり傷を負わせて血液を摂取し、地面に自らの血で陣を描くことで呪術「死司憑血(ししひょうけつ)」を発動。これにより対象者と自身の肉体をリンクさせ、自傷行為のダメージをそのまま相手に転送します。心臓を貫かれても死なない飛段にとって、相打ちを狙うだけで確実に相手を仕留められる必殺の戦術でした。
木ノ葉の上忍・猿飛アスマはこの初見殺しの術の前に散り、命を落としました。痛みすら快楽とする狂気と、どんな致命傷を与えても起き上がってくる絶望的な相手に対し、通常の忍術や体術で勝利することは原理的に不可能だったのです。