主役キキのキャスティングは、いつの時代も演劇界の未来を占う試金石となってきた。今回その重責を担う山戸穂乃葉は、舞台上に立った瞬間から圧倒的な存在感を放つ。華奢なシルエットから繰り出される歌声の芯の強さ、そして思春期特有の揺らぎを全身で体現する演技力は圧巻だ。
箒を握る指先の微細な震えから、空を飛ぶ歓喜の跳躍まで、彼女の身体表現は観客の感情を直接揺さぶる。相手役のトンボやオソノさんをはじめとするアンサンブルとの掛け合いにも、型にはまらない生の感情が通い合う。無邪気な少女が一人の自立した女性へと脱皮していく過程を、彼女は一切の作為を感じさせずに演じ切っている。