撮影現場は、妥協を一切許さない熱量に包まれていた。真冬の雪山で行われたロケーション撮影では、気温が氷点下に達する過酷な環境下で、キャスト陣が泥まみれになりながら迫真の演技を続けたという。
実力派の共演者たちも、役所広司との共演について「圧倒されるような気迫だった」と振り返る。現場ではセリフの合間にある「間」の取り方を巡って是枝監督とキャスト陣の間で熱い議論が交わされ、シーンごとに何十回ものテイクが重ねられた。
演者たちが全身全霊を捧げて作り上げたカットの数々は、画面から溢れ出るようなリアリティを獲得している。極限状態の中で模索された人間の尊厳と葛藤が、観客の胸を強く打つ。