なぜここまで「石垣島から台湾が見える」という言説が広まっているのでしょうか。その大きな要因は、八重山諸島と台湾の直線距離および位置関係に対するスケール感の混同にあります。
石垣島を基点とした場合、各地点への位置関係と直線距離は以下の通りです。
・石垣島 〜 那覇(沖縄本島):約410km
・石垣島 〜 台湾(東海岸・宜蘭付近):約227km
・石垣島 〜 与那国島:約124km
・与那国島 〜 台湾:約111km
石垣島は、県庁所在地である那覇よりも台湾のほうが圧倒的に近い位置にあります。「沖縄本島より台湾のほうが近い」という強烈な事実が先行した結果、「それなら天気が良ければ対岸に見えるはずだ」という心理的バイアスを生み出している側面は否めません。
また、石垣島から台湾の方角はほぼ「真西から西南西(方位角約260度〜270度)」に位置します。この方角は、石垣島から美しい夕日を眺めるアングルと完全に一致します。夕暮れ時に西の海上に浮かぶ島影を見て、「あれこそが台湾だ」と信じ込んでしまう旅行者が後を絶たない背景がここにあります。